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基礎現場の丸いもの?

毎日暑い日が続きます。
梅雨明けがこんなに夏らしいのは久しぶりのように思います。
暑さ対策をしながらも、夏を満喫していきたいものです。

今回は前回に続いて基礎工事のひとコマです。
基礎工事中の現場をご覧いただいたお客様からダントツに質問が多い内容を取り上げます。

写真を二枚ご覧ください。
鉄筋組みが完了したところですが、何やら気になるものが見えませんか?
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白い丸いものが鉄筋に取り付けられていますよね。
「あれは何?」
「あのままコンクリートの中に埋めてしまうの?」
という質問をいただくケースがよくあります。
このままの状態でコンクリートの中に埋めるのですが、この白いものには非常に重要な役割があります。

そもそもコンクリートの耐久性を評価するにあたって、
やや横着な表現ですが、『劣化=コンクリート内部の鉄筋がサビること』と考えることができます。
『サビる』ためには、ご存知の通り、酸素と水が必要なのですが、
コンクリート内部は強いアルカリ性のため、「サビが発生する=酸化する」ことはありません。

しかし長い年月で考えると、コンクリートの端(表面)にひび割れが発生して、
そのひびから空気(酸素)や水が侵入して鉄筋にサビを発生させることになります。

なので、鉄筋がコンクリートの端に寄ってしまうと、酸素や水が早く到達することになってしまい、
結果「鉄筋がサビやすい=耐久性が劣る」コンクリートとなってしまうのです。

これを防ぐために、建築基準法では「コンクリートの端から鉄筋までの距離」の最小値が決められていて、
この距離を“かぶり厚さ”と呼んでいます。

つまり、この“かぶり厚さ”を確保する(鉄筋がコンクリートの端によらない)ために、
あの白い丸いものを鉄筋に取り付けているのです。
その役割から『スペーサー』と呼んでいます。

コンクリートを打ち込むための型枠を組んでいる状態が次の写真です。
鉄筋がコンクリートの端に寄らないように機能しているのがおわかりいただけると思います。
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形状が丸いのは、横方向と縦方向のどちらにも確実に“かぶり厚さ”を確保するためです。
このようにちょっとした工夫でコンクリートに埋まってしまう鉄筋の位置を確保しているのです。

参考までに、写真の部位で規定されている“かぶり厚さ”は、6cm。
このスペーサーは直径が15cmあるので、基礎の鉄筋にスペーサーの中心をあわせると
確実に6cmを確保できる仕組みです。

意外と知られていない“かぶり厚さ”ですが、コンクリートの耐久性を考える際には非常に重要な要素となります。
現場での作業においても、常に“かぶり厚さ”を気にして施工しています。






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by sekou-kanri | 2010-07-25 23:19

遣り方

暑いですね。
梅雨が明けて夏本番。
すっきりとしないジトジト空に別れを告げて、気持ちのよい青空が広がります。

今日は、基礎工事における“遣り方”を取り上げます。
「やりかた」と読みます。
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建築工事の最初に必ず存在するものです。
意識していなくとも、皆さんも見かけたことがあると思いますよ。
右の写真をご覧ください。
これは土の掘削を始めていますが、
敷地の周囲にグルッとまわっている木の板の事を遣り方と呼びます。

遣り方の目的が「立入禁止」だと思っている方もいらっしゃるようですが、
そうではありません。
もっともっと重要な役割を担っています。
建築工事において、最も重要だと言っても過言ではありません。

想像してみてください。
皆さんが基礎工事を行うことになりました。
施工図面をもとに敷地の土を掘削します。
この際、何を基準に工事を進めると、図面通りの正確な施工を行うことができるでしょうか?

「地面に掘削するラインを引く」が、ほとんどの方が思い描く答えでしょう。
確かに、『ほぼ』正確に掘削できるかもしれませんが、精度を求めることはできません。
また掘削するとこのラインが消えてしまうことも悩みです。

そこで登場するのが、遣り方です。
木の板を敷地周囲にまわして、板の上に糸を張っています。
もともと空中にある糸を基準にしていますから、掘削によって土がなくなっても確認ができます。
また、板に正確なラインを記入することで、いつでも掘削ラインや通り芯(基礎の中心)の確認ができます。
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さらに遣り方の優れている点は、高さの確認まで出来るように工夫されていることです。
敷地周囲にまわっている板は水平に施工されていて、基準点から一定の高さとなっています。
よって、板の上に通した糸から下方向に測定すると施工途中で高さの確認ができます。

「掘削する深さは糸から930㎜下がったところ」とか「基礎の一番高いところは糸から100㎜下がったところ」
などと確認ができます。
基礎全体で、施工する部位を糸から同じ寸法下がった高さにあわせることによって、この部位の水平が確保されます。
このように一つ一つの部位を水平にあわせることで、最終的に基礎全体の水平を実現しています。
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このように、遣り方を基準として、基礎の位置や高さを決定して施工します。
つまり建物の位置や高さは、遣り方によって決まってしまうのです。
立入禁止と間違ってしまうようなあの板が、非常に重要な理由はここにあります。

ちなみに、敷地周囲にぐるりとまわす板の事を『貫(ぬき)』と呼びます。
「貫の高さは、基礎天端からいくつ上がり?」なんて質問がきたら、ビクッとしてしまいますね。(笑)






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by sekou-kanri | 2010-07-19 13:59

建物に仕掛けられた“トラップ”

W杯もいよいよ終盤。
ヨーロッパ勢が強いですね。

今日は住宅に必ずある“トラップ”の話をします。
和訳すれば「罠」。
サッカーでも「トラップ」という用語がありますね。
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今回紹介するのは、写真のような排水トラップです。
皆さんもこのような排水管を見かけたことがあるはずです。
ピンとこない方は台所や洗面化粧台の下を覗いてみてください。
形状の違いこそありますが、排水トラップがあるはずです。

写真の管に排水が流れることを想像してください。
このような形状のため、低い部分に必ず水が残りますよね。
この溜まった水が『封水』と呼ばれ、非常に重要な役割を担っています。

排水管の先は下水管に繋がっているため、悪臭がありますが、封水のおかげで臭いがストップします。
同様に有毒ガスが室内に逆流することも防いでくれます。
さらに害虫やネズミなども封水があるために室内には侵入できません。
このように排水管の途中に封水を設ける構造を排水トラップと呼んでいます。

先の写真は洗面化粧台のもので、形状からSトラップと呼ばれます。
これ以外のトラップもありますので、写真で紹介します。
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これは、壁のなかに排水管を通す場合の、Pトラップ。
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トイレの便器に水が常に溜まっているのもトラップです。
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風呂の排水口を掃除した経験のある方ならば、ここにも封水があるのがおわかりでしょう。

これ以外にも、外部の排水マスでトラップを取り、室内にはトラップを設けない方法もあります。
ただし、室内と屋外とで二重にトラップを設けるダブルトラップは排水不良となるため施工しません。

封水の考え方、ご理解いただけましたか?
台所や風呂の排水口を掃除するとき、必ず水が溜まっているのには重要な意味があったのです。
すごく簡単な仕組みですが、初めに思いついた人は天才だと思いませんか?
もしかすると、意図して封水を作ったのではなく、排水不良が生み出した産物なのかもしれませんけど。。。

ところで、この“トラップ”という語源は、やはり「罠」にあるそうです。
「害虫が侵入できない=罠」から生まれた言葉だそうです。
さらにサッカー用語のトラップも、「ボールに罠をかけて捕まえる」から派生しているそうです。
「罠」とはつながらないような二つのトラップも、元を辿れば同じところに行き着くなんて不思議ですね。





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by sekou-kanri | 2010-07-04 16:07