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“吹き抜け”を施工する

真冬の寒さが続きますね。
サッカーにラグビー、冬のスポーツも盛り上がりを見せています。

今日は“吹き抜けの施工”を取り上げます。
完成するととても気持ちのよい吹き抜け空間ですが、施工に際してはいろんな悩みがあります。
安全面と費用面、作業の効率など、まさに建築現場の悩みが凝縮されていると言っても過言ではありません。
“吹き抜け”を施工する_f0228863_1522664.jpg
吹き抜けが出来上がっていく過程を想像してみてください。
まずは構造体である鉄骨の施工をします。
吹き抜けの一番上にある梁の接合のためにボルトを締め込まないといけません。
また吹き抜け面の外壁も取り付けなくてはなりません。
当然脚立では届かないため、足場を施工する必要があります。
躯体工事のための足場を設置します。
“吹き抜け”を施工する_f0228863_1544256.jpg
しかしながら、足場を建てた床下を排水管や床暖房などの設備配管が通る事があります。
すると一時的に床を上げて配管工事をしたいのですが、足場が邪魔で施工できません。
どうするかと言えば、足場を解体します。
せっかくお金をかけて設置した足場を解体します。
解体にもお金がかかるのは言うまでもありません。

次に吹き抜けの施工で困るのは、内部木工事に先駆けて行う断熱工事です。
外壁の内側に断熱材を施工しますが、吹き抜け上部は施工できません。
どうするかと言えば、足場を施工します。
当然お金がかかります。
この段階では、鉄骨の梁が剥き出しになっているため、下の写真のように太い角材を渡して
厚いベニアを敷いて作業床を作って代用することも多いです。
“吹き抜け”を施工する_f0228863_15455321.jpg

“吹き抜け”を施工する_f0228863_15571657.jpg
順調に進み、内部木工事へと工程が進みます。
壁や天井が施工されると今度は床貼り工事に移ります。
もうおわかりの通り、天井を施工するために設置されている足場が邪魔で床の施工ができません。
“吹き抜け”を施工する_f0228863_15512382.jpg
で、またまた、足場を解体します。
これで大工さんは無事に床貼り工事を完了します。

次の工程は、クロス工事。
当然吹き抜けの壁や天井に壁紙を貼りますので、足場を施工します。
クロス工事完了後は、この足場を使って照明などを取り付けます。
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これでやっと足場を解体してクリーニングとなります。
ここで忘れてはならないのが、吹き抜けの窓をキレイにしておく事。
足場がなければガラスを拭くこともできませんからね。

クリーニングまで完了してホッと一息ついたあたりで次の問題が発生します。
窓の網戸が施工できない、窓に取り付けるカーテンが施工できない、といった問題です。
はしごで施工するのは危険なので、足場を施工します。

一体何度足場を施工しては解体することでしょう。。。
足場工事のための費用がどんどん膨らんでいきます。
しかしながら、不安定なハシゴなどで危険な作業をして事故を起こしてはいけません。
安全第一です。

できるだけ費用を抑えながらも安全な作業が実現できるように、各職種間の調整を行っています。
先の工程を見越して、足場施工を出来るだけ少なくするように頑張っているのです。






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# by sekou-kanri | 2011-01-10 16:18

番外編 3

あけましておめでとうございます。
全国的には大雪など荒れたお正月となっていますが、東京は穏やかですね。
静かな街並みとキーンと冷えた空気が、晴れやかな気分を盛り上げてくれます。

今回はお正月なので、三回目の番外編をお送りします。
海外旅行が大好きな私は、この夏スイスに行ってきました。
猛暑で大変だった日本を離れて、束の間のリフレッシュです。

目的は、ずばり “マッターホルン”
あの山を眺めてみたいと思い、麓の町「ツェルマット」を目指して旅立ちました。
番外編 3_f0228863_23452898.jpg
短い滞在でしたが、最終日には天候に恵まれ、マッターホルンの絶景を眺めながらハイキングをしました。
歩いては山を眺め、山や氷河を見ては感嘆の声をあげる、この繰り返しです。
何度「すごい!」と言ったかわかりません。

番外編 3_f0228863_23545487.jpg
真夏ですが、標高3000mを超える場所ではとても寒くて、明け方の気温は0℃近くまで冷え込みます。
太古の時代から残る氷河も融けないのですね。
池には魚がいて、花も咲いていて、、、まさにハイジの世界がありました。

番外編 3_f0228863_235408.jpg


標高4478mのマッターホルンを眺める旅、素晴らしい思い出となりました。
スイスは鉄道がとてもうまく整備されています。
日本からの直行便も飛んでいますので、雄大な景色を見たくなったらお勧めです。





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# by sekou-kanri | 2011-01-03 00:11

スランプ

いよいよ寒くなってきましたね。
今年もあと20日足らず。
全く実感がありませんが、2010年もあと少しです。

今回はコンクリートの管理項目の一つを紹介します。
タイトルの通り 「スランプ」 です。
これは固まる前のコンクリートの流動性を表す数値です。
スランプ_f0228863_14324462.jpg

一般的に、流動性が低いコンクリートほど、セメント量が多い(水が少ない)ので強度が大きくなります。
しかしその分施工しづらく、鉄筋と鉄筋のあいだにコンクリートがうまくまわらない不具合を引き起こす要因となります。
反対に流動性が高いコンクリートは、取り扱いが容易になる分、所定の強度を確保できない恐れがあります。

なので、コンクリートを注文するときには「スランプ値」を指定します。
そして実際に納入されたコンクリートが、規定のスランプ値となっているのかを確認して施工します。
下の写真のスランプ値は、14.5 となります。
スランプ_f0228863_14474439.jpg

住宅の工事では、スランプ値が15~18程度のものを使用することが多く、
値が大きいほど流動性が高いと評価されます。
この現場では、「スランプ15」で注文したので、やや固めのコンクリートが納入されました。
しかし許容差は±2.5 なので、OKと判断しました。

実際にどうやって試験をしているのかご覧ください。
生コン車から出てくるコンクリートを採取して、スランプコーンと呼ばれる試験用の器にコンクリートを入れます。
器の高さが重要で、30cmあります。
スランプ_f0228863_14371872.jpg

コンクリートの入れ方も決められています。
全体を3回に分けてほぼ均等に入れます。
スランプ_f0228863_1513916.jpg

入れたら棒で25回突きます。
24回でも26回でもダメです。
25回ピッタリです。
スランプ_f0228863_1525646.jpg

これを3回繰り返して、スランプコーンにコンクリートが一杯になったら、いよいよ緊張の瞬間!
スランプコーンをゆっくり引き上げます。
すると硬化していないコンクリートがウネウネと拡がっていきます。
スランプ_f0228863_1575564.jpg

そこですかさず定規を当てて、コンクリートが何cm下がったかを計測します。
つまり30cmからどれだけ下がったか?ということですね。
スランプ_f0228863_1583839.jpg

この値がスランプ値です。
生コンの品質を受け入れ現場で管理することはなかなか難しいため、
比較的容易に判断できるスランプ値の検査を行うことが多いようです。

いかがでしたか?
街中でコンクリート打ち込みを見かけたら、少し気にしてみるとおもしろいですよ。
「スランプ試験しているかな?」
「スランプ値はいくつくらいかな?」
なんて心の中でつぶやきながら・・・。

ところで、スポーツなどでもスランプという言葉を使いますよね。
「落ち込む」が語源で、元をたどれば同じところに行き着くそうです。
おもしろいものですね。




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# by sekou-kanri | 2010-12-12 15:32

建築現場見学会

すっかり涼しくなりました。
もうすぐ師走です。
あんなに暑かった夏が遠い昔に感じられます。

この土曜・日曜で、建築中の現場で見学会を行いました。
お客様のご協力で、なかなか見られない建築途中の状況をご覧頂く機会です。
完成した展示場も素敵ですが、施工途中でしか見られない鉄骨がむき出しの建築現場も魅力的ですよ。
建築現場見学会_f0228863_19222426.jpg

私が担当した会場では、施工工事店の社長をはじめ、何人かの職人さんにお手伝いいただきました。
日曜日にもかかわらず、ありがとうございました。

施工工事店と一緒に企画した「やきいもブース」が、なかなかの盛況!
甘い匂いが近所に漂い、和やかな雰囲気で進めることができました。
法被を着ていると本職のやきいも屋さんに見えてしまいます(笑)
建築現場見学会_f0228863_1928976.jpg
石焼きでなかなか本格的。
石のなかに「いも」が埋まっているのですが、よく見えませんね。
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ご来場の方においしいやきいもを食べていただきました。
もちろん、私もこっそりいただきました。おいしかった。。。
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会場までの案内をしてもらったお二人もありがとうございました。
建築現場見学会_f0228863_19392890.jpg

二日間でご近所の方にたくさんご来場いただきました。
皆さんと話をするなかで改めて感じたのは、“施工現場が注目されているんだな”ということ。
ご近所の皆様には工事でご迷惑をおかけすることになりますが、
整然とした恥ずかしくない現場造りを心がけていこうと再認識した週末でした。






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# by sekou-kanri | 2010-11-28 19:53

GS金物

日中はまだ暑い日もありますが、夜は虫の鳴き声や涼しい風に秋の到来を感じます。
寒暖の差が激しいので、体調には十分に注意したいものです。

今日は内部木工事のひとコマをお伝えします。
皆さんが何気なく生活している自宅の部屋や会社の「壁」は、どうやって固定されているかご存知ですか?
工法や材料など様々ですが、木のパネルを使って壁を作りあげていく方法を紹介します。
GS金物_f0228863_11103691.jpg

写真は、壁の骨組みだけが完成した状態です。
この上に石膏ボードを貼って壁紙を施工するのが一般的です。

当然ですが、この骨組みは、①しっかりと固定されている ②まっすぐに立っている 事が重要です。
そのために「GS金物」と呼ばれる金物を使用しています。
言葉で説明するよりも、写真でご覧いただくのが早いと思いますので、以下をどうぞ。

こんなかたちをしています。
GS金物_f0228863_11124012.jpg

こんな風に使います。
GS金物_f0228863_1115276.jpg

大工さんが垂直を見ながら固定します。
GS金物_f0228863_11344188.jpg

すると壁は、こうなります。
GS金物_f0228863_1116051.jpg

簡単そうに見えると思いますが、金物の大きさや形状などに改良を加えた結果です。
しっかりとしていて、垂直な壁が施工されていきます。

ちなみに、大工さんが垂直を確認するのに使っているのはレーザーです。
以前は「下げ振り」が一般的でしたが、ここでも道具が改良されているんですね。
赤いラインが垂直のラインなので、このラインに合わせて固定していきます。
GS金物_f0228863_11383486.jpg

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壁が垂直にたっていて動かないなんて、当たり前の事ですが、
この当たり前を確実に施工するために一工夫されているのです。

最後に、なぜ「GS金物」って呼ぶのかお伝えします。
この金物は建物の外周にしか使用しません。
外周に使う金物 ⇒ GaiSyuuに使う金物 ⇒ GS金物 です。
わかり易いですよね・・・?笑





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# by sekou-kanri | 2010-09-20 11:52